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​ケトバイオティクスの理念

PHBは大腸に届く

私達は「ケトバイオティクス」という新しい方法論によって腸内細菌叢の健康維持に貢献したいと考えます。

ポリヒドロキシ酪酸/PHBの最も重要な点は、腸内細菌の酵素だけによって加水分解され得るという点です。

大腸内に住む腸内細菌たちに取り込まれ、その細胞膜上にある酵素によって加水分解され、腸内細菌叢の中でエネルギー基質であるケトン体が放出されます。(*​1

ケトン体の原核細胞への働き

ケトン体の研究は哺乳類(真核細胞)への作用に集中してきたため、PHBの働きは腸内細菌との関係であるという点で「原核細胞への働きかけ」というケトン体の知られざる半面とも言えます。ケトン体研究の新たな地平を開き、新たな研究分野を創製するものなのです。

ケトン体は消化管でも産生される

最近の研究によれば、大腸上皮からは常にケトン体が産生されていると言われます。ケトン体を合成するのに必要な酵素であるHMGCS2が大腸上皮細胞に多く発現していることがわかってきています。(*​2)

理想的な腸内細菌叢を維持するために

そんな貴重なケトン体を外から腸内細菌叢に補充することで健康維持に役立てようという、新しいタイプのプレバイオティクス。

それこそが「ケトバイオティクス」です。

腸内細菌たちが元気でいることによって期待できること

エネルギーが十分で腸内細菌たちが元気でいてくれれば、
・ 好ましい割合の善玉菌を維持して腸内細菌叢の理想的な状態を保ち、良好な便通を保つことが可能になる。
・ 制御性T細胞/Treg細胞の適切な働きを維持できるため、免疫力を好ましいレベルで保つことが可能になる。
・ 脳腸相関により健康的な脳の状態を維持することが可能になる。
 腸腎相関により健康的な腎臓の状態を維持することが可能になる。

ケトバイオティクス」がそのために役立つようにとの強い思いで、私たちは今も研究を続けています。

(*​1)

PHBは一部の腸内細菌が膜表面上に持つPHBデポリメラーゼでゆっくりと加水分解されて、ケトン体  (3-ヒドロキシ酪酸)をゆっくりと放出します。
ケトン体は酪酸菌などの3-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼという酵素を持つ細菌群のエネルギー基質となって消費されます。
これにより酪酸菌のエネルギー代謝が活性化され、酪酸の放出量が増加します。酪酸は制御性T細胞の適切な働きをサポートすることが知られています。

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文献:Satoh T. New prebiotics by ketone donation. Trends Endocrinol Metab. 2023 Jul;34(7):414-425. doi: 10.1016/j.tem.2023.05.001. Epub 2023 Jun 2. PMID: 37271711.

(*​2)参考文献

Zou K, Hu Y, Li M, Wang H, Zhang Y, Huang L, Xie Y, Li S, Dai X, Xu W, Ke Z, Gong S, Wang Y. Potential Role of HMGCS2 in Tumor Angiogenesis in Colorectal Cancer and Its Potential Use as a Diagnostic Marker. Can J Gastroenterol Hepatol. 2019 Jul 1;2019:8348967. doi: 10.1155/2019/8348967. PMID: 31355161; PMCID: PMC6634068.

Kim JT, Li C, Weiss HL, Zhou Y, Liu C, Wang Q, Evers BM. Regulation of Ketogenic Enzyme HMGCS2 by Wnt/β-catenin/PPARγ Pathway in Intestinal Cells. Cells. 2019 Sep 19;8(9):1106. doi: 10.3390/cells8091106. PMID: 31546785; PMCID: PMC6770209.

Camarero N, Mascaró C, Mayordomo C, Vilardell F, Haro D, Marrero PF. Ketogenic HMGCS2 Is a c-Myc target gene expressed in differentiated cells of human colonic epithelium and down-regulated in colon cancer. Mol Cancer Res. 2006 Sep;4(9):645-53. doi: 10.1158/1541-7786.MCR-05-0267. Epub 2006 Aug 28. PMID: 16940161.

(*​3)参考文献

Cheng CW, Biton M, Haber AL, Gunduz N, Eng G, Gaynor LT, Tripathi S, Calibasi-Kocal G, Rickelt S, Butty VL, Moreno-Serrano M, Iqbal AM, Bauer-Rowe KE, Imada S, Ulutas MS, Mylonas C, Whary MT, Levine SS, Basbinar Y, Hynes RO, Mino-Kenudson M, Deshpande V, Boyer LA, Fox JG, Terranova C, Rai K, Piwnica-Worms H, Mihaylova MM, Regev A, Yilmaz ÖH. Ketone Body Signaling Mediates Intestinal Stem Cell Homeostasis and Adaptation to Diet. Cell. 2019 Aug 22;178(5):1115-1131.e15. doi: 10.1016/j.cell.2019.07.048. PMID: 31442404; PMCID: PMC6732196.

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